「会社が儲かる理由とは?」大切なのは産業構造なのか、それとも個々の戦略なのか。

新聞の企業収益記事を見て、この会社はなぜ儲かるのだろう?と疑問を感じたことはあると思います。
業界構造なのか、たまたまサプライチェーンの中にポジショニングしているから? あるいはレッドオーシャンの中でも他社と差別化できる戦略をとっているからなのか。
日経ビジネスにその疑問を解決してくれるような記事を見つけましたのでご紹介します。
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重要なのは、産業か、企業そのものか
企業の「儲かる・儲からない」を決める要因とは何なのか?
まず「産業」に目を向けてみると、
・産業による違いは大きいかもしれない。米国の例を挙げると
-製薬業界は全体的に収益率が高い
-航空業界は過当競争といえる状態で、多くの企業の経営環境が厳しい
では同じ産業内を企業単位で見た場合、全体的には厳しい航空業界でもサウスウェスト航空やジェットブルー航空は、それぞれ固有の戦略を背景に高い利益率を出している。
結局、企業の収益率の良し悪しは「どの業界に身を置くか=産業効果」なのか、それとも「企業ごとの特性・戦略=企業効果」なのか、前述の内容では測れません。
この疑問を解くために、多数の大学教授や経営学者がさまざまな手法を用いて調査してきました。その中で、「5つの競争要因」で有名なハーバード大学のマイケル・ポーターが行った調査は、1985年から91年の米企業データを取り出し、観測数約5万8000の大規模サンプルで測定。
そして、この分析結果で企業利益率のバラつきの約50%を説明できること、その内訳は産業効果が4割ぐらいで、企業固有の効果は6割程度に留まるという結果が得られました。
また興味深いのは、このポーターの結果は、まさに彼の生み出した経営理論にぴったりあてはまるものだったこと。つまり「企業の競争優位には二重のポジショニングが重要である」
1.「収益性の高い産業を選ぶべき」というポジショニング
2.「その産業内で自社が他社と比べてユニークなポジショニング(競争戦略)をとるべき」
というものです。
まさしく「産業も、戦略も重要」と主張しているわけで、まさにポーターが自ら得た「産業効果が4割、企業効果が6割」という測定結果と整合性がとれます。
日本企業の「儲かる要因」についての研究
では日本企業についてはどうでしょうか。1998年から2003年までの日本企業データ(観測数約2万4000)にて測定されています。そしてこの分析では企業利益率のバラつきの70%弱を説明できており、内訳は企業効果が7割を超え、産業効果とコーポレート効果(多角化の効果)は比較的小さいという結果となっています。
日本でも各企業の特性・競争戦略は重要と言えるでしょう。