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ドラッカーに学ぶ「部下をつぶす上司と部下を生かす上司の違いとは?」

組織において、マネジメントの課題はいつの時代も存在するもの。マネジメントの父、ピーター・ドラッカーの教えをご紹介します。

マネジメントのことならマネジメントの父に聞こう

「知識労働者にとって必要なものは“管理”ではなく“自律性”である。知的な能力をもって貢献しようとする者には、大幅な裁量権を与えなければならない。ということは、責任と権限を与えなければならないということである」

こう言ったのは、マネジメントの父、ピーター・ドラッカー。

「部下が思い通りに動いてくれないので困っている・・・」
「部下が計画を実行に移してくれないので腹が立っている・・・」
「とにかく結果を出してほしいが、仕事が遅くて計画が進まない・・・」
「部下のやる気を高めるために、いい方法がなくて困っている・・・」
「部下にもっと自発的に仕事に取り組んでほしい・・・」

このような悩みを持つマネジメント職の方は多いことでしょう。では部下をつぶす上司と部下を生かす上司の違いとは何なのでしょうか。

部下を生かす上司

「彼は、朝は早くに起きてすぐに仕事に取り掛かり、夜遅くまで執務しています。どんな細かい事でも。部下任せにせず、自分で全て指示を出しています」

これは、三国志の時代、諸葛孔明が病を患い、もうじき死んでしまうかもしれないという頃、諸葛孔明の働きぶりを偵察にきた敵国の使者が、上に報告したときの言葉です。

劉備玄徳がトップに就いていたころの蜀は、優れた人材がたくさんいました。一人一人が個性という色彩を放ち、それぞれが持てる力を発揮して、固有の存在そして輝いていました。

いつも誰かの活躍を耳にし、いつも誰かが誰かをたたえ、いつも自分たちがあげた成果を喜んでいた。

要するに個々人が“自律性”を持ち、責任と権限を与えられ、知識労働者として貢献していたということになります。

部下を生かさない上司

諸葛孔明がトップになってから、誰かの活躍を聞くことは少なくなりました。いつも孔明の支えに安堵し、いつも誰かが孔明に感謝し、いつも孔明の作戦があげた勝利をたたえていたのです。

つまり一番上の上司、諸葛孔明一人が輝いており、成果をあげているのは上司一人の功績でした。それはまるで優れた部下が一人もいなくなったかのように。事実、当時の孔明は「蜀には人材がいない」と嘆いていたそうです。

そしてその現実は、上司である孔明自身がつくっていたのです。孔明は、部下の仕事の全てに首を突っ込み、部下に何も任せず、何でも自分で決めようとする人でした。

部下はなぜ自分で考えることをやめるのか

諸葛孔明は、「部下をどう使うか」を考え、「部下をどう生かすか」という考えを持ちませんでした。当時、そんな余裕はなかったという事情は理解できますが、自分の思い通りに動いてほしいという考えが強いあまり、どんなに細かいことでも、一から十まで指示をしていました。結果として「指示通りに動く部下」を大量生産してしまったのです。それは、「部下の育成」を放棄した「イエスマンの育成」といえます。

イエスマンならまだいい方です。なぜなら指示したこと、またはお願いしたことを実行してくれるから。最悪なのが「アスクマン」です。

部下に考えさせるべき仕事さえも部下に考えさせず、常に“ああしろ、こうしろ”と指示を出し続ければ、やがて部下は自分の頭で考えることをやめます。そして、

「この件はどうすればいいですか?」
「確認しましたがダメでした、で、どうすればいいですか?」
「先方はこう言ってきました。どのように返答すればいいですか?」

というように、何から何まで上司に指示を仰ぐようになります。それは「イエスマンの育成」を超えた「アスクマンの育成」です。

またアスクマンの部下からの質問に対し、ことごとく答えを教える。これもアスクマンをさらにアスクマンに育ててしまう元凶となります。

上司の在り方が部下の仕事ぶりを決める。今日の上司のやり方が、明日の組織の結果を左右します。勉強会やどんなにいいセミナーに部下を参加させ、知識を学ばせても、上司が部下を動かそうと考えているうちは全ては無駄に終わるでしょう。部下は自立しないからです。ではどうすればよいのでしょうか。

ドラッカーはこう言っています。

“成功の鍵は責任である。自らに責任を持たせることである。あらゆることがそこから始まる。大事なものは、地位ではなく責任である。”

部下に成果をあげさせ、成功する上司は部下を自分の思い通りに動かそうとしない。部下に責任を持たせています。ここでいう責任とは、「失敗したら責任をとれ」という種類の責任ではなく、この仕事の最終責任者は自分だと思って仕事をしている状態のこと。まさに役職ではなく責任です。

実際、仕事において貢献する上司は、部下に何を要求しているのでしょう。そして、部下とどんなコミュニケーションをとっているのでしょうか?ドラッカーはこう言っています。

“仕事において貢献する者は、部下たちが貢献すべきことを要求する。「組織、および上司である私たちは、あなたに対してどのような貢献の責任を期待すべきか」「あなたに期待すべきことは何か」「あなたの知識や能力を最もよく活用できる道は何か」を聞く。

部下を生かす上司は部下に対して、「自分が担うべき責任は何か」「自分が期待されていることは何か」「自分の強みを生かしてどのように成果をあげるか」ということについて、部下本人に考えさせる。あえて部下に考えさせることによって、部下をきちんと方向づけている。だからこそ、部下は自立する。方向づけを手助けしてくれる上司の下で働く部下は、自分の力で成果をあげるようになります。

部下の正しい評価とモチベーションアップを図ることが上司の仕事であるはずです。しかし自分の存在を誇示するために、立場が上で優位であることを示そうとする行為(マウンティング)を行い、部下に責任と権限を与えない上司は組織全体に悪影響を及ぼします。

さらに、会社の利益より自分の立場を守ろうとする上司の存在は、会社のためにならず、利益を損ねる危険性が出てきます。それを察知した若手社員は「会社に未来はない」と見切り、退職者が増える原因となってしまいます。

「この会社でもっと働きたい」と思う社員を増やすためにも、ドラッカーが言う「知識労働者にとって必要なものは“管理”ではなく“自律性”である。知的な能力をもって貢献しようとする者には、大幅な裁量権を与えなければならない。ということは、責任と権限を与えなければならないということである」を実践するためにも、トップマネジメントは会社のビジョンを明確化し、中期経営計画をミドルマネジメントと合意形成することで、言語化した会社の方向性を各部署が共通した方針で部下に権限移譲することが重要と言えるでしょう。

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